0章 受験まで -05 ABRSM英国王立音楽検定 実技検定G8(グレード8)

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3月に神戸で受けた理論検定G5が受かり、東京で実技検定G8へコマを進める。
英国王立音大(王立音楽学校、王立音楽大学、王立北部音楽大学、王立スコットランド音楽演劇学校)の入試レベルとされているので、日本の音大の入試課題にも似ている。でも(!)検定の方が範囲が広くて深度があってやり甲斐があるのでは?
受験料も私立音大の受験料並みかもう少し高い。

説明会で来日した試験官に聞いた検定の目的は、
優れた音楽家を育てること」。
だからスケールひとつとっても、音楽的に弾くことが望まれている。

つまり日々の心がけが検定のスコアに反映する。

何を勉強すべきなのか知るためABRSM英国本サイトから問題集を揃えて対策する。

★実技検定G8(グレード8)内容

  • 全調スケール(mollはHarmonicとMelodic)、アルペジオ、全音階、ドミナントセブンス、減七、3度、クロマティック ~これらはすべて暗譜
  • 初見演奏
  • ソルフェージュ(新曲視唱 4声のバス)
  • 聴音(和声)
  • 口述(先生が弾いた曲の時代様式、テクスチャ、特徴、構成、調性など答える)
  • 各時代ごとに選曲した曲の演奏。途中で切り上げられることはなく、最後まで演奏できる。~暗譜不要

全調スケールを野球部のトスバッティングのように矢継ぎ早に 次々と。ええと〜…と間が開くと減点される
はい、これ。はい、これ。と20個くらい続く。楽器によるだろうが、私は2オクターブひと息で。
例:F major, B major, E♭minor harmonic, G# minor melodic・・・
英語で言われるので、「エー(エイ)」と聞こえたら EでなくA! BとB♭も注意。
なぜか割とディミニッシュセブンス(減七)のスケールが頭に入らなくて、よくピアノでイメージを入れた。手元に鍵盤が見えていない楽器の弱さのような気がしたけれど…実は減七なんて3種類なのだった。

聴音では、終止形と転回形を当てる。
私は4音をそれぞれには聞分けできないので、響きでつかむようにした。響きで掴めば構成音はおのずとわかる。
独学でやってしまったが、音大受験の聴音レッスンなど受けたことがなく、どんなだろう?と興味深い。
市販された検定用聴音音源はみな、曲のはじめのI度は転回されておらず、各調ドミソだったと思うが、試験ではいきなりベースがミ(Ib)とかソ(Ic)〜という転回形から始まった。

あとは試験官が一度だけするピアノ演奏を聴いて思いつく限りありったけの知識を総動員して答える。日本の音大受験ならないかも知れない。
どんな小さなことも言った。

3拍子です、短調/長調です、メヌエットです、優雅な印象です、元はチェンバロの曲と思われます・・・
更に、〇〇(時代の作曲家例)を思わせる、ベースのドローンで始まる、対位法が使われている、装飾が特徴的に使われている、同主調に転調して華やかに終止した・・・など、必死で伝えた。
ピカルディのⅢや ナポリのⅥも自分のボキャブラリとして使えないといけなかった。

ソルフェージュは、相対音感で歌ってもよい。私は曖昧な絶対音感を放棄して移動ドで歌った。(そのためには、リトミックソルフェージュがよいトレーニングになるのではないかな?と。)
それと風邪や声変わり途中で声が出ないなら、狭い音域しか声が出ない旨伝えると配慮される。と説明会では言っていた。


社会人にとってのハードル

検定受験に際しもう一つ、
社会人にとって厳しいのは、試験日程がなかなか読めないことがある。しかも、自分で手配した伴奏者を伴わねばならない器楽や声楽の場合・・・心して調整がいる。
英国からの試験官のツアー(アジアエリアを検定にまわる)の日程は、各国と調整されるからなのだろうけれど、なかなか組みにくかったりする。
検定事務局が何とかしようと懸命に動いてくださるが、こちらもピアニストと共にいつかいつ、のように何案も準備が必要だ。

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